2010年07月05日

非情の瞬間・・・勝利、敗北、運命


Victory, Defeat and Fate in One Cruel Moment
( New York Times )

It is the cruelest and most contrived moment in soccer: the penalty shootout that decides which of two exhausted teams will be eliminated from the World Cup. And it must have a fall guy.

Yuichi Komano was that unfortunate individual after his Japan team was eliminated by Paraguay on Tuesday in the only shootout to date in this World Cup. Komano’s penalty kick missed by inches, striking the crossbar. Komano then had to wait as one, two, three penalty takers converted their shots. He was on his knees, head bowed, and we could tell from his quivering body that he was sobbing.

Komano, like everyone else on that field in Loftus Versfeld Stadium, had not had a great game, or a bad one. Japan and Paraguay were equal in their inability to conquer nerves, scoreless throughout 90 minutes and then 30 minutes more of extra time.

No one scored, no one dared, no one wanted to be a hero strongly enough. So the penalty lottery applied, and for once a soccer game deserved this wretched way of separating the inseparable.


【 まずは準備運動 】

・cruel 残酷な、悲惨な
・eliminate 除く、除去する
・bow 腰をかがめる、お辞儀する、(頭・首を)下げる
・quiver 小刻みに揺れる、震える
・lottery くじ引き



【 泳ぐときには息継ぎしなくちゃ 】

It is the cruelest and most contrived moment in soccer: /
それはサッカーにおいての最も残酷で最も人為的な瞬間だ /

the penalty shootout
PK戦

that decides which of two exhausted teams
2つの疲れ切らされたチームのどちらかを決める

will be eliminated from the World Cup.
ワールドカップから除去される

And it must have a fall guy.
そしてそれは身代わりを持たなければならない


Yuichi Komano was that unfortunate individual
ユウイチ・コマノがその不運な個人だった

after his Japan team was eliminated by Paraguay on Tuesday
彼の日本チームが火曜日にパラグアイによって除去された後で

in the only shootout to date in this World Cup.
このワールドカップにおいての現在までの唯一のPK戦において

Komano’s penalty kick missed by inches,
コマノのペナルティキックは数インチによってミスした

striking the crossbar.
クロスバーを打ちながら

Komano then had to wait
コマノはそれから待たなければならなかった

as one, two, three penalty takers converted their shots.
1人、2人、3人のPK取り人が彼らのシュートをコンバートした間に

He was on his knees,
彼は彼の膝の上にいた

head bowed,
頭を下げて

and we could tell from his quivering body
そして私たちは彼の震えている体から知ることができた

that he was sobbing.
彼はすすり泣いていた


Komano,
コマノは

like everyone else on that field in Loftus Versfeld Stadium,
ロフタス・バースフェルド競技場でのフィールド上の他のすべての人のように

had not had a great game, or a bad one.
偉大な試合またはひどい試合を持たなかった

Japan and Paraguay were equal
日本とパラグアイは平等だった

in their inability to conquer nerves,
彼らの神経過敏を征服することができないことにおいて

scoreless throughout 90 minutes
90分の間ずっと無得点

and then 30 minutes more of extra time.
そしてそれから余分な時間のさらなる30分


No one scored,
誰も得点しなかった

no one dared,
誰も敢えてしなかった

no one wanted to be a hero strongly enough.
誰も十分に強くヒーローになりたがらなかった

So the penalty lottery applied,
だからペナルティ・くじが適用された

and for once
そして今回だけは

a soccer game deserved this wretched way
サッカーの試合はこのみじめな方法に値した

of separating the inseparable.
分けられないものを分けることの


【 英語ってどんな海? 】

素晴らしいゲームでした。オシム前監督もPK戦はサッカーじゃない、と言っていました。というわけで今回は、駒野選手に捧げます。

■ sob

4年に一度の季節サッカーファンなので詳しくはありませんが、「サッカー」は英国で「football」、米国で「soccer」というのが一般的のようです。米国で「football」と言えば「American football」。

見出しにある「defeat」はちょっと厄介です。動詞で「(敵・相手を)破る、負かす」ですが、名詞では「敗北」と「(相手を)破ること、打ち負かすこと」、つまり「勝利」の意味も辞書に載っています。でも、名詞の場合は「敗北」の意味で使われることが多いと思います。

第1パラグラフです。「contrive」は「考案する、工夫する、(悪事などを)たくらむ」。「devise」と同意語です。記事にあるのは、これが形容詞になった語。「人為的な、不自然な」。ここでは形容詞の最上級として使われていますが、試訳ではきっぱりと無視しました(コラッ!)。

「shootout」は「撃ちあいの決闘」。「PK戦」は「penalty shootout」と言うのですね。第2パラグラフにあるように「shootout」だけでもいいようです。

「exhaust」は「(容器などを)空にする、(資源・体力などを)使い果たす、疲れさせる」。

「fall guy」は「貧乏くじを引かされる人、生贄(scapegoat)、身代わり、だまされやすい人、カモ」。この「fall」は「落ちる」です。

第2パラグラフです。「to date」は「現在まで」。「date」は「日付、デート」でおなじみですが、後者の意味では「デートする相手」にもなります。動詞としては、

This church dates back to 1173.
(この教会の歴史は1173年までさかのぼる)

といった用法が大切でしょう。

「convert」は「変える、転換する、改心させる」ですが、アメフトの追加得点やボーリングのスペアなど、スポーツ語としても使うようです。

この「tell」は「知る、分かる」。「sob」は「しくしく泣く、すすり泣く」。日本語ならこのように「擬声語+泣く」で済むのですが、英語の場合は泣き方の様態に応じた個別の動詞で表します。それぞれモノのように見て、名前を付けるという発想なのでしょうか。

最も一般的な「cry」は涙を流して、声を上げて。「weep」は「さめざめと泣く」、「wail」は「わんわん泣く」、「whimper」は「めそめそ泣く」みたいな感じで、他にもたくさん。泣き甲斐があります。

■ wretched

モノ的発想といえば、第3パラグラフにまた「have」が出てきました。日本語なら「ある・いる」と言うところを「持つ」と言っちゃうんですね。

My house has seven rooms.
(私の家は7部屋ある)

You have the wrong number.
(電話番号を間違えていますよ)

「nerve」は「神経、勇気、度胸」、複数形で「神経過敏(状態)、気おくれ」。「a war of nerves」で「神経戦」です。

第4パラグラフです。「for once」は「今回だけは、一度だけは」。「wretched」は「みじめな、哀れな、実に不快な」。「wretch」でそういう人。

さて、英語的には面白い文章ですが、随分と辛口な意見です。米国人はなかなか点が入らないサッカーを好まない、そんなスポーツ観が現れているような気もします。


【 訂正 】

不用意でした。「神経戦」とは「精神力や神経が試される戦い」のことではありません。正しくは「不安感・敗北感・厭戦感を催させる宣伝や、睡眠妨害などによって、敵をいらだたせ、士気を衰えさせる戦法」(大辞林)。「nerves」の中身は、具体的に次のパラグラフに書かれています(No one scored, no one dared, no one wanted… )。このような「緊張状態の神経」。

「nerve」というのはちょっと面白い語です。「勇気、度胸」なのに、複数形になると「神経質、いらいら、緊張」という意味で使われます。日本語の感覚なら「神経が太く」なりそうなものなのですが。

という訳で、記事のこの部分の訳も、「日本とパラグアイは等しく神経戦に打ち勝つことができず」を「日本とパラグアイは等しく緊張に打ち克つことができず」に訂正します <(_ _)>
(2010/07/15)


【 日本の陸に上がってみると 】

非情の瞬間・・・勝利、敗北、運命
( New York Times )

それはサッカーに仕組まれた非情の瞬間だ。PK戦の結果で、疲れきった2チームのうちどちらかをワールドカップからふるい落とす。そして、そこには必ず生贄がいる。

駒野友一がその不運を背負った。日本チームが火曜日、今大会初のPK戦でパラグアイに敗れたからだ。駒野のPKは数インチの差で外れ、クロスバーを叩いた。そして駒野が待つ間に、1人、2人、3人とキッカーがシュートを決めていった。駒野は跪き、頭を垂れていた。誰もがその震える体から察した。駒野はすすり泣いていた。

その試合は、駒野だけでなく、ロフタス・バースフェルド競技場のピッチにいたどの選手にとっても素晴らしいものでも、ひどいものでもなかった。日本とパラグアイは等しく緊張に打ち克つことができず、無得点のまま前後半の90分と30分の延長戦を終えた。

誰も得点しなかった。誰も勇気がなかった。誰も果敢にヒーローになろうとしなかった。だから、PK戦というくじが適用された。この試合ばかりは、分かちがたいものを分かつこの因果な方法も似つかわしかった。



【 もう一度、泳ごう 】

Victory, Defeat and Fate in One Cruel Moment
( New York Times )

It is the cruelest and most contrived moment in soccer: the penalty shootout that decides which of two exhausted teams will be eliminated from the World Cup. And it must have a fall guy.

Yuichi Komano was that unfortunate individual after his Japan team was eliminated by Paraguay on Tuesday in the only shootout to date in this World Cup. Komano’s penalty kick missed by inches, striking the crossbar. Komano then had to wait as one, two, three penalty takers converted their shots. He was on his knees, head bowed, and we could tell from his quivering body that he was sobbing.

Komano, like everyone else on that field in Loftus Versfeld Stadium, had not had a great game, or a bad one. Japan and Paraguay were equal in their inability to conquer nerves, scoreless throughout 90 minutes and then 30 minutes more of extra time.

No one scored, no one dared, no one wanted to be a hero strongly enough. So the penalty lottery applied, and for once a soccer game deserved this wretched way of separating the inseparable.



● 続き? 後は自力で英語の大海へ泳ぎ出そう。溺れても命は取られないからダイジョーV!
(古っ)
 ↓ ↓ ↓
http://tinyurl.com/26epkbe


● 編集後記

ボールを持ったまま敵陣を突破する(メッシなんか絶対に倒されないもんなあ)。あるいは、一瞬の隙をついて鮮やかなパスを出す。攻撃に転じたときの強豪国のスピードと強さは、素人目にもよく分かりました。日本もいつかそんなサッカーができる日が来るのか。後学のために準決勝、決勝も見ておかなくては!




posted by K.Andoh | Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ
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