2010年02月18日

フィリピン、「マイ・ウェイ」は死の旋律?


Sinatra Song Often Strikes Deadly Chord
( New York Times )

The authorities do not know exactly how many people have been killed warbling “My Way” in karaoke bars over the years in the Philippines, or how many fatal fights it has fueled. But the news media have recorded at least half a dozen victims in the past decade and includes them in a subcategory of crime dubbed the “My Way Killings.”

The killings have produced urban legends about the song and left Filipinos groping for answers. Are the killings the natural byproduct of the country’s culture of violence, drinking and machismo? Or is there something inherently sinister in the song?

“ ‘I did it my way’ ― it’s so arrogant,” Mr. Albarracin said. “The lyrics evoke feelings of pride and arrogance in the singer, as if you’re somebody when you’re really nobody. It covers up your failures. That’s why it leads to fights.”


【 まずは準備運動 】

・fatal 致命的な、運命の(fate:運命)
・byproduct 副産物(product:工業生産物)
・machismo 男らしさ、男っぽさ(macho:マッチョな・人)
・inherently 生得的に、本質的に
・failure 失敗(者)、落第



【 泳ぐときには息継ぎしなくちゃ 】

The authorities do not know exactly /
権威たちは正確には知らない /

how many people have been killed warbling “My Way”
何人の人々がマイ・ウェイを声を震わせて歌いながら殺されたのか

in karaoke bars over the years in the Philippines,
フィリピンの中で数年にわたってカラオケバーにおいて

or how many fatal fights it has fueled.
あるいはそれはどれくらいの数の致死的な喧嘩に燃料を与えたのか

But the news media have recorded at least half a dozen victims
しかしニュースメディアは少なくとも半ダースの犠牲者を記録した

in the past decade
過去の十年において

and includes them in a subcategory of crime
そしてそれらを犯罪のサブカテゴリーに含める

dubbed the “My Way Killings.”
マイ・ウェイ殺しとあだ名された


The killings have produced urban legends about the song
殺しは歌についての都市伝説を生んだ

and left Filipinos groping for answers.
そしてフィリピン人に答えを手探りさせた

Are the killings the natural byproduct
殺しは自然な副産物なのか

of the country’s culture of violence, drinking and machismo?
国の暴力や飲酒や男らしさの文化の

Or is there something inherently sinister in the song?
あるいは歌の中に生来的に不吉な何かがあるのか


“ ‘I did it my way’ ―
私は私の道でそれをした

it’s so arrogant,”
それはとても傲慢だ

Mr. Albarracin said.
Albarracinさんは言った

“The lyrics evoke feelings of pride and arrogance in the singer,
歌詞が歌手の中にプライドや傲慢さの感情を呼び起こす

as if you’re somebody
さもあなたがたいした人物であるかのように

when you’re really nobody.
あなたが実際には取るに足らない人であるときに

It covers up your failures.
それはあなたの失敗を覆い隠す

That’s why it leads to fights.”
それがそれ(マイ・ウェイ)が喧嘩へ導く理由だ


【 英語ってどんな海? 】

というわけで今回は、殺人ですから笑い事ではありませんが、どこかおかしい話を。

■ chord

見出しにあるchordは、音楽の「和音、コード」や昔の何らかの^^楽器の「弦」(string)。転じて「(ある種の)感情」。strike a chordで「思い出させる、感情に訴える」。日本語でも「心の琴線に触れる」と言います。「琴線」とは琴の糸ですから、ほとんど同じ発想です。ちなみに、「ひも、綱」のコードはcordです。

今回の記事のテーマの「マイ・ウェイ」は、銀幕でも大活躍した米国の往年のスター、フランク・シナトラの代表曲です。日本で言えば、北島三郎さんです(我ながら、見事なたとえだ!)。ご存知ない若い方のためにウィキペディア↓を引いておきます。

http://tinyurl.com/btd5u

元の記事の枕のエピソードは省いての第1パラグラフ。warbleは「声を震わせて歌う」。シナトラもその使い手とされますが、かつて米国で一世を風靡した歌唱法にcrooningというのがあります。croonで「低い声で優しく歌う」といった感じ。本家はビング・クロスビーという人です。いわば洋風コブシを効かせて歌います。興味のある方はYouTubeの検索窓に「Bing Crosby White
Christmas」を。これです。いい曲だなあ〜。

warbleにせよcroonにせよ、独特の表情を持った歌い方を動詞一語で表します。試訳ではwarbleを「唸る」としましたが、日本語ではどうでしょうか。

fuelは「燃料」で、ここは動詞ですからまさしく「火に油を注ぐ」。それで喧嘩が殺人にまで至るわけです。

dubは「(あだ名を)つける、〜と称する」。結構よく出てきます。

■ sinister

第2パラグラフです。gropeは「手探りする・して探す」。電車内で痴漢したりする場合などにも使いますが、くれぐれも実地には移さないよう。

sinisterは「不吉な、縁起の悪い、邪悪な」。これも覚えておいたほうがいいと思います。

フィリピン人は、いつでもどこでもというほどカラオケが好き。ところが、下手な歌には容赦がない。おまけに喧嘩っ早い。だから、最悪の事態になる。

・・・といった話が続いて、いや、そればかりではない。「マイ・ウェイ」という歌そのものに問題がある。そう話すのが、次のパラグラフに登場するButch Albarracinさんという人です。

■ evoke

arrogantは「傲慢な、尊大な」。evokeは「(感情・記憶・ついでに霊魂なども)呼び起こす、喚起する」。evokeのvokeは「声」のvoiceやvocalです。「引き起こす、誘発する、怒らせる」のprovokeも親戚で、これもよく使われます。

somebodyやnobodyは、いかにも英語です。somebodyのsomeは「重要な、相当な、ひとかどの」。nobodyはそれこそユーレイみたいですが、「取るに足らない人、無名の人」。この世に存在しています。

Nobody is perfect.

これは「無名の人は完璧だ」ではなくて、「完璧な人間などいない」

英語学習の便に供するため、「マイ・ウェイ」の一番の歌詞を載せておきます。日本では結婚式などでも歌われるそうですが、本当は人生の最後の時に来し方を振り返ってという内容です。

And now, the end is near
And so I face the final curtain
My friend, I'll say it clear
I'll state my case, of which I'm certain
I've lived a life that's full
I travelled each and ev'ry highway
And more, much more than this, I did it My Way


【 日本の陸に上がってみると 】

フィリピン、「マイ・ウェイ」は死の旋律?
( New York Times )

当局も正確には把握していない。この数年間フィリピンのカラオケバーで、何人の人が「マイ・ウェイ」を唸って殺されたのか。あるいは、どれだけの喧嘩が殺人へとエスカレートしたのか。だがマスコミは、この十年間で少なくとも6人の犠牲者を数え上げた。そして、その記録の分類先として設けた犯罪カテゴリーの名が「マイ・ウェイ殺人事件」

事件によって「マイ・ウェイ」をめぐる都市伝説が生まれ、フィリピンの人々が答えを探しあぐねている。この殺人はフィリピンの文化である暴力や飲酒、男性優位主義ゆえの避けられない副産物なのか。あるいは、歌自体に不吉なものが潜んでいるのか。

「『私は自分の道を生きた』。これが傲慢です」とAlbarracinさんは言う。「この歌詞によって傲慢さや自惚れといった感情に目覚めたまったくの凡人が、大物気取りで歌う。自分の駄目さ加減を棚に上げる。だから、喧嘩になるのです」


【 もう一度、泳ごう 】

Sinatra Song Often Strikes Deadly Chord
( New York Times )

The authorities do not know exactly how many people have been killed warbling “My Way” in karaoke bars over the years in the Philippines, or how many fatal fights it has fueled. But the news media have recorded at least half a dozen victims in the past decade and includes them in a subcategory of crime dubbed the “My Way Killings.”

The killings have produced urban legends about the song and left Filipinos groping for answers. Are the killings the natural byproduct of the country’s culture of violence, drinking and machismo? Or is there something inherently sinister in the song?

“ ‘I did it my way’ ― it’s so arrogant,” Mr. Albarracin said. “The lyrics evoke feelings of pride and arrogance in the singer, as if you’re somebody when you’re really nobody. It covers up your failures. That’s why it leads to fights.”


● 続き? 後は自力で英語の大海へ泳ぎ出そう。溺れても命は取られないからダイジョーV!
(古っ)
 ↓ ↓ ↓
http://tinyurl.com/ydacknq


● 編集後記

「マイ・ウェイ」が嫌いという人は、日本でも少なくないようです。日本語の訳詞は原曲とはかなり違います。それでも「お前は何様だ?」と鼻につくような歌詞です。僕も好きではありませんでした。でも、先程YouTubeで聞いたら、これがまたいいのです。

今度、カラオケスナックで歌っちゃおうかな。でも、調子に乗ってはいけません。隣席のコワイお兄ちゃんたちに睨まれます。そういう場合日本では、店の女の子たちが急いで割って入ります。殺人事件を防ぎます。あ〜、よかった。



posted by K.Andoh | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際
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