2009年09月16日

おれとおまえの間柄〜イチローと大リーグ記録〜


Mariners’ Suzuki on a First-Name Basis With Records
( New York Times )

Because Suzuki’s magical season happened to coincide with a wacky marketing gimmick concocted by his manager, Akira Ohgi, his name will forever be rooted in the mystique of 200 hits in Japan. Ohgi an astute baseball man, quickly recognized the breakout potential of Suzuki. Ohgi was a flamboyant sort and he understood the name Ichiro Suzuki, as commonplace as Joe Smith is in the United States, offered little pizazz for an already colorless Blue Wave team that played in the second-fiddle Pacific League.

Hoping to capture Japan’s fancy, Ohgi replaced the surname across the back of Suzuki’s jersey with his first name during spring training and registered him with the commissioner’s office as Ichiro. Surprised, to say the least, Suzuki, who was 20, had little leverage to protest.

From that moment, scoreboards across Japan would identify him as Ichiro and the rest of Orix’s starting lineup by their surnames. Public-address announcers would shout out only the three syllables of his first name when introducing his at-bat. In a land of conformity, it was an attention-grabbing move. But for Suzuki, a young outfielder trying to make a name for himself based on performance, the pressure of having his name made for him was immense.


【 まずは準備運動 】

・wacky 風変りな
・mystique (人を魅惑する)神秘的雰囲気
・astute 鋭い、機敏な
・leverage てこの原理、(目的を達成するための)力
・syllable 音節
・immense 巨大な、計り知れない



【 泳ぐときには息継ぎしなくちゃ 】

Because Suzuki’s magical season /
鈴木のマジカルなシーズンは /

happened to coincide with a wacky marketing gimmick /
たまたま風変わりなマーケティングの仕掛けと同時に起きた /

concocted by his manager, /
彼のマネージャーによって調合された /

Akira Ohgi, /
おおぎあきら /

his name will forever be rooted /
彼の名前は永遠に根づかされるだろう /

in the mystique of 200 hits in Japan. /
日本において200ヒットの神秘的雰囲気の中に /

Ohgi /
おおぎは /

an astute baseball man, /
鋭い野球の人 /

quickly recognized the breakout potential of Suzuki. /
すぐに鈴木の突然的発生の潜在力を認めた /

Ohgi was a flamboyant sort /
おおぎは派手なタイプだった /

and he understood /
そして彼は理解した /

the name Ichiro Suzuki, /
その名前鈴木一郎は /

as commonplace as Joe Smith is in the United States, /
米国でのジョー・スミスのように平凡な /

offered little pizazz /
ほとんど派手さを提供しない /

for an already colorless Blue Wave team /
すでに無色のブルーウェーブ球団のために /

that played in the second-fiddle Pacific League. /
第2バイオリンのパシフィックリーグでプレイしていた /


Hoping to capture Japan’s fancy, /
日本の愛好を捕まえることを願いながら /

Ohgi replaced the surname across the back of Suzuki’s jersey /
おおぎは鈴木のジャージーの背中を横切る姓を取り替えた /

with his first name /
彼の名と /

during spring training /
春のトレーニングの間に /

and registered him /
そして彼を登録した /

with the commissioner’s office as Ichiro. /
イチローとしてコミッショナー・オフィスに /

Surprised, /
驚かせられながら /

to say the least, /
控えめに言うと /

Suzuki, /
鈴木は /

who was 20, /
20だった /

had little leverage to protest. /
ほとんど抵抗するための力を持っていなかった /


From that moment, /
その瞬間から /

scoreboards across Japan /
日本中のスコアボードは /

would identify him as Ichiro /
彼をイチローと同一視したものだ /

and the rest of Orix’s starting lineup by their surnames. /
そして彼らの姓によるオリックスの先発ラインアップの残り /

Public-address announcers /
公に呼びかけるアナウンサーは /

would shout out only the three syllables of his first name /
彼の名のたった3音節を叫んだものだ /

when introducing his at-bat. /
彼の打席を紹介するときに /

In a land of conformity, /
同調の国において /

it was an attention-grabbing move. /
それは注目を掴む動きだった /

But for Suzuki, /
しかし鈴木にとって /

a young outfielder /
若い外野手 /

trying to make a name for himself /
自力で名前を作ろうとしていた /

based on performance, /
パフォーマンスを基盤にして /

the pressure of having his name made for him /
彼のために作られた彼の名前を持つという重圧は /

was immense. /
巨大だった /


【 英語ってどんな海? 】

イチロー選手が9年連続200本安打を達成しました。でも、ニューヨーク・タイムズは通信社の記事でお茶を濁しちゃったようです。というわけで今回は、ちょっと前のものを取り上げます。なかなか面白いですよ。元の記事の第4パラグラフからです。

■ first-name basis

見出しにあるon a first-name basis with… というのは、「・・・と名前(ファーストネーム)で呼び合う(ほど親密な)間柄で」。しゃれた見出しです。ちなみに「姓」のほうは、surnameとかfamily nameなどです。

coincideは「一致する、同時に起こる」。concoctは「(料理などで)材料を混ぜ合わせる、調合する」ことで、そこから「工夫して作り出す」。どちらも大事な単語です。

gimmickは「(注目を集めるための)工夫、仕掛け、トリック」といった感じの口語で、これもよく使われます。

flamboyantもよく目にする単語です。元はフランス語のようで、「燃えるような、華々しい、けばけばしい、派手な」。否定的な意味でも使われるそうです。名詞はflamboyantで、英語でflameといえば「炎」ですから、関係があるのでしょう。

「分類する、種類」のsortは、「性格、ある性格の人(モノ)」でもあります。仰木彬監督というのは、オールスター戦でイチローにピッチャーをやらせたくらいですから、なるほどflamboyantかもしれません。仰木マジックと呼ばれた采配も含めて、個性的で明るい監督さんでした。

英英辞典によると、pizazzは、an attractive combination of energy and style(エネルギーとスタイルが組み合わさって注目を引くもの)を意味する俗語だそうです。訳語としては「派手さ、垢抜けたもの」と出ていました。パッと見、「ピザ?」と思いました。ピザはpizzaです^^;

Joe Smithは「鈴木一郎」のように平凡な名前だという件がありましたので、平凡な名前が用いられた慣用表現をいくつか挙げておきますと・・・

John Doeは「普通の人(男)」の意味で、訴訟などで名前が分からない場合の仮の名前としても使われます。女性の場合は、Jane Doeさん。

Uncle Sam(サムおじさん)はこの人↓ことで、アメリカの政府や国民を表します。

http://tinyurl.com/84rhua(ウィキペディア)

Where's the john? で、「ジョンはどこにいるの?」ではなくて、「(男子)トイレはどこ?」だったりします。keep up with the Joneses などは学校で習ったでしょうか。「ジョーンズ家についていく」ことから、「隣人と張り合う、流行に後れないようにする」

second-fiddleというのは、「(オーケストラの)第2バイオリン」のことで、転じて「脇役、下位の人」。今はだいぶ差もなくなりましたが、パリーグはセリーグより人気がなかったのでこう言っているわけです。

■ fancy

fancyは「空想、想像」ですが、「(気まぐれな)好み、嗜好」、また「(スポーツなどの)愛好家」という意味もあります。fancy goodsという場合のfancyは、そうした気まぐれな空想から生まれたような装飾や趣向を言うのでしょう。

Surprised, to say the least,… はbeingが省略された分詞構文で、「控えめに言っても、(イチローは)驚いたのだが」。なんだか回りくどい言い方ですね。でも、英語は反語的な表現を好みます。

■ make a name for oneself

public-addressのaddressは、時事英語では「(問題に)取り組む」でおなじみですが、ここはもちろん「住所」でもなくて、「呼ぶ、話す、演説する」など、声でメッセージをあてる(address)ということです。

conformityは「(慣習などに)従うこと、同調(性)」。例によって、それが日本の特徴だと申しております。動詞がconformで「従う、一致する」。

make a name for oneselfは「名をなす、名を上げる」。 つまり、nameには日本語の「名」と同じように「名声、評判」という意味があるわけですが、同時に「悪口、悪態」なんて意味もあったりしますからオソロシイです。


【 日本の陸に上がってみると 】

おれとおまえの間柄〜イチローと大リーグ記録〜
( New York Times )

鈴木の驚嘆のシーズンは、当時の仰木彬監督が編み出した奇抜なマーケティング戦略と図らずも重なった。そのために、彼の名前は日本では永遠に200本安打の神話の中に根を下ろすことになる。仰木監督は炯眼を持った野球人で、すぐさま鈴木の爆発的な潜在能力を見抜いた。仰木監督はまた派手好きなタイプだった。鈴木一郎という名前が米国におけるジョー・スミスのように平凡で、脇役のパリーグのチームとしてただでさえ精彩を欠くオリックス・ブルーウェーブに何らカッコよさをもたらさないと判断した。

日本人の好奇心をくすぐろうと、仰木監督は春のキャンプで鈴木のユニフォームの背中にあった姓を名に改めさせ、コミッショナー事務局にもイチローと登録した。少なからず驚いたものの、まだ20歳の鈴木には、反抗しようにもその力がなかった。

その時から、日本中の得点掲示板で鈴木はイチローになった。オリックスの残りの先発メンバーは姓のままだ。場内アナウンスは3音節だけの彼の名を叫んで、その打席を告げる。右へならえのお国柄において、これは注目度抜群の一手だった。だが、成績によって名を上げようとしていた若き外野手である鈴木にとって、その名を自分のものにする重圧には計り知れないものがあった。


【 もう一度、泳ごう 】

Mariners’ Suzuki on a First-Name Basis With Records
( New York Times )

Because Suzuki’s magical season happened to coincide with a wacky marketing gimmick concocted by his manager, Akira Ohgi, his name will forever be rooted in the mystique of 200 hits in Japan. Ohgi an astute baseball man, quickly recognized the breakout potential of Suzuki. Ohgi was a flamboyant sort and he understood the name Ichiro Suzuki, as commonplace as Joe Smith is in the United States, offered little pizazz for an already colorless Blue Wave team that played in the second-fiddle Pacific League.

Hoping to capture Japan’s fancy, Ohgi replaced the surname across the back of Suzuki’s jersey with his first name during spring training and registered him with the commissioner’s office as Ichiro. Surprised, to say the least, Suzuki, who was 20, had little leverage to protest.

From that moment, scoreboards across Japan would identify him as Ichiro and the rest of Orix’s starting lineup by their surnames. Public-address announcers would shout out only the three syllables of his first name when introducing his at-bat. In a land of conformity, it was an attention-grabbing move. But for Suzuki, a young outfielder trying to make a name for himself based on performance, the pressure of having his name made for him was immense.


● 続き? 後は自力で英語の大海へ泳ぎ出そう。溺れても命は取られないからダイジョーV!
(古っ)
 ↓ ↓ ↓
http://tinyurl.com/mhtnlv


● 編集後記

今回の記事はいかがでしたか?もし、イチローが「鈴木」のままだったら、これほど偉大な選手にはなっていなかったかもと、そんな気さえしました。



posted by K.Andoh | Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ
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